- Recommended -
アルバ醸造学校を創設したドミツィオ・カヴァッツァが1894年にバルバレスコの農民を9人集めて組織し、その後発展したのがこの「プロドゥットーリ・デル・バルバレスコ(バルバレスコの協同組合)」です。
通常のバルバレスコが毎年安定したクオリティを発揮し評価を得ていますが、優れたヴィンテージにはアジリ、モッカガッタ、モンテフィーコ、モンテステファノ、オヴェッロ、パイエ、ポーラ、ラバヤ、リオ・ソルドという9つの単一クリュのリゼルヴァも生産されます。
今回試飲したポーラは南と南西向きの畑で、クラッソ、デッラフェッレーラ、マンツォーネが所有する同クリュから16,266本が生産されています。
角のとれた一体感ある構造が印象的ですが、纏まりはあるものの指向性が水平方向でやや薄く、2000年らしからぬ内向的で職人気質的なオーラを漂わせています。このクラス相応の体躯の締まりと威風を感じますが(若干解像力に欠けるのが惜しい)、固めのタンニンとややこぢんまりしたスケールのおかげで、全体的なスタイルは「やや通向け」といった感じがします。どちらかというと陰的な要素が勝っていますが、森の下草を感じさせるような空気感や、ハーブ&スパイス的芳香性においてはオヴェッロを上回るものがあるので、秘めたる気品を感じながらじっくり時間をかけて向き合えば、より多くのポテンシャルを引き出せると思います(奥底に「スルメ的病み付き力」が感じられるのでハマると満足度は高そう)。
同年のオヴェッロとは明確に表情が異なりますが、クオリティ自体はほぼ同じようなレベルにあり、「今飲んでも楽しめるうえに、熟成のポテンシャルもかなり感じられる」という点においては同質なので(とはいえ、ポーラの方が表情がほぐれるのに時間がかかりそう)、おそらく両クリュに対する支持は飲み手の嗜好によって分かれると思います。わかりやすいスタイルのワインを求める人にはお薦めできませんが、バルバレスコに堅牢さを求める人にとっては有効な選択肢になると思います。
(2006/12)