- Very Good Quality -
イタリア人醸造家「フランコ・ベルナベイ」の代表作であり、良きキャンティ・クラシコ・リゼルヴァの「ランチャ」を造ることで知られる、フェルシナのトップキュヴェワイン、サンジョヴェーゼ100%のスーパータスカン「フォンタッローロ」です。
快楽的な果実味という現代的指向ではありませんが、サンジョヴェーゼという品種を真摯に見つめ、研ぎ澄まされた感性で居合のごとく切り出した孤高の資質を披露してくれます。今回続けて飲んだフラッチャネッロ、ピアン・デル・チャンポロ、ペルゴレ・トルテの3本は、それぞれの個性をみせながらも、総じてサンジョヴェーゼとは思えない程の外向的な魅力を持った果実味が印象的でした。しかし、今回のフォンタッローロはこれらIGT系サンジョヴェーゼ・ワインとはやや指向性が異なり、どちらかというと厳格で一糸乱れぬ姿を見せていたDOCGキャンティ・クラッシコ系サンジョヴェーゼ・ワインに近い存在となっています。中でもアマに比較的近い印象を受けましたが、それでも全体的に見た場合は、両者の良い部分をうまく融合させたようなスタイルになっていると言えるかもしれません。
表層に見られるテクスチャの微細さはやや控えめで、どちらかというとクリアで艶やかな印象となっていますが、身の詰まった果実味の周囲全体に、圧倒的に光る酸味と高貴なアルコールを纏って全体をグッと締め上げています。この締まり具合がサンジョヴェーゼの高い独自性をアピールする結果となり、非常に高い次元で世界観を構築しています。現状でも素直に美味しく楽しめますが、方向性としてはわかりやすい美味しさを持っているのではなく、あくまでもサンジョヴェーゼのポテンシャルにフィーチャーし、可能な限りその魅力を引き出したようなスタイルになっていると言えます。
ユーロ高の昨今ではありますが、なぜか近年のヴィンテージの方が手頃な価格帯で流通しているようなので、サンジョヴェーゼ系ワインが特別好きな人でなくても大いに飲んでみる価値があると思います。
ちなみに、このワインは2003年度版のガンベロ・ロッソで最高評価のトレ・ビッキエーリを獲得しています。
(2005/02)