- Very Good Quality -
過去のヴィンテージ(1997年など)に見られた圧倒的存在感を誇る密度力が未だに頭に焼き付いていますが、今回の1999年ヴィンテージに関してはまったく異なるスタイルとなっており、合わせて試飲した「カステッロ・ディ・ブローリオ」や「カステッロ・ディ・フォンテルートリ」に近いエレガントなキャンティ・クラッシコとなっています。ヴィンテージとしては1997年に劣らない評価を得る1999年ですが、表情の質が全く異なるので注意が必要です。
比較的明るくクリアな色調となっていますが、見た目の印象に近い流麗でたおやかな表情を見せてくれます。特に抜栓日はその傾向が強く、受ける印象としては「アルコールのしっかりしたブルゴーニュ」といった感じがあります。今回試飲した3本のキャンティ・クラッシコの中ではもっともエレガントなタイプだと言えますが、同時に若さを感じる青みや立ち昇るアルコール感、そして若干シンプルなこともあり迫力に欠ける部分もあります。ただし、表面上にはあまり表れないながらも強固な酒質の強さを感じるので、長い目で見た場合のポテンシャルとしてはもっとも期待できるかもしれません。
現状では硬質な要素が解れ始めた程度ではありますが、それでも抜栓直後から素直に美味しく飲めてしまいます。翌日になるとまた違った表情を見せ始め、次のステップに移るであろう数年後の展開に対して期待が膨らみます。さらにその翌日になると、今度はストイックなまでに屈強な芯が露になり、10年以上経過させた場合の変化に強い興味を抱きました。おそらくどの熟成段階で飲んでも、アマが造るキャンティ・クラッシコのアイデンティティを感じることができる、品位と格式あるヴィンテージなのだと思います。
ちなみにこのワインは、2003年度のガンベロ・ロッソで最高評価となるトレ・ビッキエーリを獲得した、1999年ヴィンテージとしては4本しかないキャンティ・クラッシコのうちの1本となっています。
(2004/02)