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抜栓直後から、バリック的な要素が色濃く表れた力強い表情を遺憾なく発揮してきます。それでいてペルゴレ・トルテを超える程の豊満で魅力的な果実味が際立ち、時間とともにその甘味が増大していきます。甘くパワフルという現代的な指向性が色濃く表れますが、その表情の奥には緻密な酸とタンニン、そして解像力豊かなテクスチャが想像を超えた次元で練り上げられています。すべての要素が高次元で切磋琢磨しあう素晴らしい世界観に陶酔するしかないと言える状態でした。
翌日に持ち越すと一端果実味は落ち着き、今度はサンジョヴェーゼらしい酸とタンニンが主役の場に表れます。次から次へと、いくつでも引き出しを持ってそうなそのポテンシャルの高さに圧倒されますが、それでいて今飲んでも素直に楽しめるという素晴らしい懐の広さを持っています。
以前飲んだ1996年ヴィンテージの印象がイマイチだったので、実を言うとあまり期待してませんでした。しかし、いざ蓋を開けてみると、過去に経験したサンジョヴェーゼ系ワインの中ではトップクラスと言える潜在能力と豊かな表情を兼ね備えていたので素直に驚かされました。ピンポイントでの魅力に秀でる銘柄は他にも多くありますが、これだけ幅広い方向性において高いポテンシャルを発揮してくれるものはそうないと思うので、コストパフォーマンスという面においても強くお薦めしたいワインです。
本来の魅力を発揮するまでに少し時間がかかると言われるフラッチャネッロですが、近年では2001年がワインスペクテイターで97点を獲得するなど評価もうなぎ上りなので、まずは飲み頃に入りつつある90年代のヴィンテージから順番に楽しんでいけば良い結果が得られると思います。
(2005/02)