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大量消費のサンジョヴェーゼ・ワインが溢れていた時代に、「サンジョヴェーゼをフレンチ・バリックで熟成させる(現在は7.5~12hlの大樽も併用)」という時代の先の先を行く手法で多くの人を驚かせたのがこの「レ・ペルゴレ・トルテ」です。ペルゴレ・トルテは「歪んだ樹形」という意味を持つ畑の名前となっていますが(トスカーナの方言)、現在では反対斜面の「モンテヴェルティーネ」でとれる葡萄も使用されています。
毎年変化する独特のラベルが特徴的ですが、画家のアルベルト・マンフレディの死により、この1999年ヴィンテージより作風に変化がみられます(過去の作品が使用されている)。あわせてバックラベルも特徴的で、ピアン・デル・チャンポロのラベルに似たテキストベースの特大ラベルが張られています。
ピアン・デル・チャンポロはサンジョヴェーゼに加えてカナイオーロがブレンドされていましたが、このペルゴレ・トルテはサンジョヴェーゼ100%の生粋ワインとなっており、年間生産量は2万4千本となっています。
繊細なテクスチャを兼ね備えた微細な表情が特長となっていますが、思った以上に果実に凝縮感があり、滑らかで柔和な甘味を持ったわかりやすい果実味が全体を魅力ある方向に仕立てています。他の1999年産サンジョヴェーゼワインの傾向や、モテンヴェルティーネの特徴と言われる「タイトで緻密で硬質」という印象が頭に植え付けられていたので、当初はかなり玄人好みな表情を想像していました。しかし、実際にはミッチリ甘味が詰まった果実味のおかげで、非常にわかりやすく素直に楽しめるスタイルとなっています。ピアン・デル・チャンポロ程の極端な甘味ではないこともあり、緻密で解像力のあるタンニンと構造を良い方向に導けていると感じます。この資質の差が、結果的には大きな印象の差となっているように感じました。
全体的にも非常に纏まっており、深く考えずに楽しめる明快さを持った良質なワインだと言えます。思った以上に飲み頃を迎えている印象を受けるので、必要以上に寝かせなくても楽しめるかもしれません。ただひとつ難点を言うとすれば、どのヴィンテージであっても高価格だということぐらいでしょうか。総じて1万円前後の価格帯となっているので手が出しにくいのが現状だと思います。
(2005/02)