- Good Quality -
エノロゴとして有名な「ルカ・ダットーマ」が、満を持して立ち上げた自身のワイナリーが「ドゥエマーニ」。造り手と同じ名前を冠したこの「ドゥエマーニ」は、ビオディナミ(デメターの認証を取得済み)で栽培されたカベルネ・フラン100%で造られる渾身のワインで、まさに造り手を表すフラッグシップアイテムといえる1本となっています。
ヴィンテージのスタイルや造りの変遷の影響もあってか、以前試飲した2004年や2006年とは異なる表情を持っています。葡萄の熟度の高さは健在で、タンニンも豊富ではありますが、ボディの厚みや果実力をベースとしたボリューム感がやや控えめで、代わりにイタリアらしい軽快な酸味がしっかりと主張する傾向にあります。また、酸と双璧をなすレベルで苦味も強く、チョコレートの風味や表層の瑞々しさ、それらモダンで軽快な立ち振る舞いとは裏腹に、内包する要素の振幅度はかなり高い傾向にあります。
ドゥエマーニのワインは、初期の頃は長期の熟成を必要とするような屈強なスタイルでしたが、近年では数年の熟成で無理なく飲めるようなスタイルへと変化が見られ、このフラッグシップのドゥエマーニについても同様の傾向が見られます。チフラやアルトロヴィーノのように抜栓日は親近感があり、素直に楽しめる系譜の表情が広がりますが、翌日に持ち越すとタニックな側面と軽快な酸がやや立ち気味になり、前者2アイテムとは異なり全体的なバランス感がやや崩れる印象でもあります。とはいえ、これらはあくまでも高い次元での話であり、基本的には良質な世界観が広がります。凝縮した葡萄のエネルギーを具現化したスタイルでありながらも、決してパワーで押すタイプではないというのがひとつの魅力でもあるので、ルカ・ダットーマの際立つ手腕を信じて今後のヴィンテージに注目したいところです(このヴィンテージを最後に日本への正規輸入元がなくなったのが残念)。
(2017/10、2017/12)