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ボジョレーという地で、20年前から古典的な有機農法や醸造を実践し続ける自然派の重鎮「マルセル・ラピエール」のクリュ・ボジョレー「コート・ド・ブルイィ」です。
クリュ名としては「ブルイィ」と似ていますが、ブルイィ内にある死火山の斜面が「コート・ド・ブルイィ」になり、土壌も「火山性」になるので、そのスタイルはブルイィとはまったく異なったものになっています。
抜栓直後の印象だと、ドッシリとしたパワー系要素が伝わりますが、決してモルゴンほどの重厚さではないので、思いのほか程よい親近感の立ち位置をキープしているように感じます。翌日になると内側に秘めていたピュアな果実味が徐々に溢れ出し、巻き込みながら全体を拡販しその魅力を広げていきます。パワー系の要素だけではやや籠ったような閉塞感がありますが、この純度の高い果実味のおかげで一気に美点が華開きます。まさに「力強さと綺麗な果実味の良い所取り」といった内容で、コート・ド・ブルイィの個性と2005年というヴィンテージの特徴が、マルセル・ラピエールの手によって遺憾なく発揮された良作だと言えます。
冷静になって全体を見渡すと、決して群を抜くような完成度のワインではなく、自然派系に見られる漬物汁風味が僅かに感じられ、構造体の裏側に僅かな粗さや抜けの悪さが見られるのも事実ですが(時間が経過し各要素が定位に収まれば問題ないかも?)、それでもうまく各ピースが揃った「素直な良さ(能書不要)」が感じられるので、2005年の中では「シルーブル」「ジュリエナ」とともにお薦めアイテムだと思います。
(2007/04)