- Good Quality -
ボジョレーの地で70年代から有機農法を続けるマルセル・ラピエールが手がけるクリュ・ボジョレーの「モルゴン」です。単にビオワインというだけでなく、葡萄は天然酵母のみで発酵され、補糖や酸化防止剤の添加は行われず、最後はノンフィルターで瓶詰めするという徹底ぶりです。さらにキャップシールには「ロウ」を使用し長期熟成に備えるなど、通常のボジョレーとは一線を画す造りとなっています。
一般的にはパワー系に分類されるモルゴンですが、今回のボトル(Lot 2005 N du 14 / 06 / 06)は手軽なウェイトで既に丸さや一体感があり、想像以上に飲める状態となっていました。さすがに抜栓日はドッシリとし重心の低い体躯が印象的でしたが、2日目になるとスラッとした高めの酸が印象的になり、全体としてみると一定レベルの密度と旨味は感じますが、どうもコアの力が抜け落ちたような雰囲気があるので、以前飲んだエドアルド・ヴァレンティーニのトレッビアーノ・ダブルッツォにも似た「水」のような性質を感じます。
重めの酒質を持つモルゴンやムーラン・ナ・ヴァンよりも、キュートな果実主体のシルーブルの方が美点が明確だったので、もしかするとこれが2005年というヴィンテージのキャラクターなのかもしれませんが、封じ込められたエネルギー密度を考慮すると「ハズレボトル」だった可能性もあるので、もう少し時間をあけて再度別のロットを試してみたいところです。
(2007/03)