- Very Good Quality -
年間生産本数4,500本という超少量のサンジョヴェーゼワイン「スティニャーノ」です(2000年からはメルローが10%ブレンドされているようです)。
ややローストがキツく焦げた風味が気になりますが、一時代を築き上げた「パワー系サンジョヴェーゼ」の血統を色濃く受け継いだスタイルで(好みが分かれるかも!?)、サンジョヴェーゼ特有の品位ある骨格がコアに歴然と位置していることもあってか、安易なリゼルヴァ(キャンティ・クラッシコ)にみられるようなバランスの崩れは皆無です。
2001年らしく各要素がそつなく揃っていますが、抜栓日の印象はとにかく「抽出凝縮パワー系」で、ふと1997年のカステッロ・ディ・フォンテルートリが脳裏をよぎります。個人的にはかなり評価したい内容ですが、近年のハイエンドサンジョヴェーゼワインは洗練されたエレガント系に指向が変化しつつあるので、このような「男塾」的資質はやや飲み手を選ぶ傾向にあるかもしれません。
ここまでであればただの「強固な酒質のモダンワイン」で終わるところですが、翌日に持ち越すことで恐るべきポテンシャルの一端が垣間見れます。当初は「抽出系」かと思われた酒質が、コロっと「硬質気品系」に変容し、サンジョヴェーゼの本質的美点が一気に開花します(1999年のアマのキャンティ的資質)。まさに「ただの凝縮系ワインと甘く見るなかれ」という意志がひしひしと伝わり、想像以上の資質に深く広い懐を否応なく感じさせられます。
2001年のサンジョヴェーゼ系ワインにやや見られる「バランスよく揃いすぎている(ヤンチャさがないので逆に物足りない)」という傾向も確かにあり、意志の強さからくる反面要素としてやや単調になる傾向もありますが、それでもこのエネルギー密度と集中度は同ヴィンテージのペルカルロやアマのキャンティとは一線を画すものがあるので、是非とも一度は経験して欲しいサンジョヴェーゼワインだと言えます。
(2006/10)