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1983年に誕生したペルカルロは、6つの畑から特別選別されたサンジョヴェーゼ100%で造られます。熟成はフレンチオークのバリックで22ヶ月、その後ノンフィルターで瓶詰され6ヶ月熟成されます。
「サンジョヴェーゼ最強ワイン」としての名を欲しいままにしている印象すらあるペルカルロですが、やはり同じヴィンテージのバロンコーレとはひと味違った世界観となっています。まさに「素直に美味しいサンジョヴェーゼ」と言える表情が印象的なので、バロンコーレのような外向的スタイルにやや軟弱さを感じる人には持ってこいだと思います。
キュートな赤系果実の魅力が遺憾なく発揮され、洗練系サンジョヴェーゼにみられる「ブルゴーニュ的ピノ・ノワール資質」も持ち合わせていますが、奥底に居座る強靭なタンニンと軋む程の強固なボディとの融和がまだなされていないので、現状でも素直に楽しめるものの、本質的な世界観構築&ポテンシャルの昇華という意味においてはまだまだ時間が必要です。
凝縮一辺倒ではなく、果実味も豊富にあり、酸もあり、2001年らしくバランスの良い体躯を持っていますが、逆に複雑性はあまりなく、美味しさの指向性もやや単調な傾向にあるので、いわゆる「普通に美味しいワイン」という範疇におさまっている印象を受けます(シンプルだが質実で丁寧なワイン)。価格帯や世間的な評価からくるイメージからして、もっと圧倒するような世界観を持っているのではないかと想像していましたが、実際にはいたって通常レベルだったので、期待が高かった分だけやや残念でした。
個人的には、もっとストイックで古代建築的圧倒感を兼ね備えたようなスタイルをより評価したいので、そういう意味ではテヌータ・ディ・ヴァルジャーノのような心眼系要素の追加を期待しますが、ことペルカルロに関しても1999年はかなり高い評価を得ているようなので、今回の結果は単純にヴィンテージスタイルによる影響が強かったのかもしれません。少なくとも現状ではまだまだ幼少期だと思うので、次回は5年後、そして10年後と、更なる成長過程を垣間みてみたい気分です。
(2006/10、2011/10)