- Very Good Quality -
ファースト・ヴィンテージとなる2000年から話題沸騰、既成概念にとらわれない独創的な発想で造られる、「クレイジー」という意味の名前を持つ「テスタマッタ」です。
今年でちょうど20年が経過するということで、15年前、そして10年前の試飲時と同一ロットのボトルを久しぶりに抜栓してみました。驚いた事に、コルクも非常にしっかりしていて、初見の印象も20年という長期間の熟成を経たとは思えないように生き生きとしたもので、むしろ、まだ5年程度しか経過していないような印象すら受けます。相変わらずボディそのものはやはり軟質で、一見するとハイエンドクラスのワインとは思えない物腰ではありますが(親近感があり高級感があまりない)、それでもタンニンは非常に重厚かつ堅牢で、これまでの2001年のテスタマッタの中では最も抜栓日の印象が良好な傾向にあります。
抜栓直後からかなりポジティブな表情を見せてくれますが、翌日に持ち越すことで更に昇華し、圧倒的に凝縮したボディから放たれるポテンシャルが軟質ボディという弱点をしっかりカバーしてくれます。10年前の試飲時に感じた彩度の高い安直さはもはや皆無。むしろ同じワインとは思えないほど一体感が高く、いたってポジティブな方向で熟成している印象なので、もしかすると単純に「ボトル差」の影響が大きいのかもしれません。とは言え、いずれもインポーターから同じタイミングで直接入手し、全て同一条件で14度管理のセラーでほぼ動かすことなく保管し続けた3本だったので、ワインを構成する基本的骨子は同じでも、ここまで表情に変化が見られるというのは、ある種かなり驚きでもあります。
最後の最後まで「浅いのか深いのか分からない」という基本姿勢は変わりませんが、それでも長期熟成に余裕で耐えうるポテンシャルを有しているのは間違いなく(決してリリース直後のインパクトだけで評価されているようなタイプのワインではない)、純粋な寿命としてはまだまだ10年や20年は軽く保存可能です。ただ、同一ロットの同一保管でありながらも、10年前のボトルはあまり良好な内容ではなかったので、最終的には「ボトル差」の影響が最大の不安要素と言えるのかもしれません(ある意味全てのワインに共通する「運」次第)。
(2006/11、2011/11、2021/11)