- Very Good Quality -
ファースト・ヴィンテージとなる2000年から話題沸騰、既成概念にとらわれない独創的な発想で造られる、「クレイジー」という意味の名前を持つ「テスタマッタ」です。
深く底が見えない深遠さがあり、凝縮感、集中力、骨格の締まり、果実の品位、ポテンシャルなど、多くの構成要素について2000年とは異なるレベルにあり、まさに「次の一歩を歩み出した」という印象を強く受けます。
抜栓直後から「それらしい佇まい」が感じられ、それでいて明快な美味しさが伝わる、素直な魅力を持ったワインだと言えます。2001年というヴィンテージの恩恵を受けたそつのないバランス感に加え、強固な酒質と独自の意志が表現された良質な昇華力を感じますが、スタイル的には「ビービー・グラーツ流」を踏襲したものであり、シンプルな指向性にやや収束傾向にあるフィニッシュなど、2000年に感じた性格を受け継ぐ部分も多少は存在します。
抜栓日の印象だと「素直に楽しめる美味しいワイン」といった感じでしたが、案の定、翌日に持ち越すことで本質が一気に露になり、強固で屈強な体躯に背筋の張り(一般的なサンジョヴェーゼの「張り」とはやや指向性が異なる)が加わった真のポテンシャルが垣間みれます。
相変わらず浅いのか深いのかの判断が難しく、そう簡単に手の中に収まってくれない自由奔放な歩調ではありますが、それでもこの2001年に関してはファースト・ヴィンテージの2000年や低価格帯のカザマッタとはまったく異なるレンジのワインだと言えるほどの内容で、明らかに内包するエネルギーやポテンシャルが異なります。そうは言ってもまだ「話題先行」「高価すぎる」といった傾向にありますが、それでも2000年と同価格帯であれば十分納得できるだけの資質を持ち合わせているので(逆に言うと同価格帯では2000年を選ぶ意味はほとんどない)、懐に余裕があれば選択しても失敗するようなことはないと思います。
(2006/11、2011/11、2021/11)