- Very Good Quality -
メルロー50%、サンジョヴェーゼ50%というブレンドで造られるマッツェイのスーパー・トスカーナ「シエピ」。
過去に試飲した2005年や2007年と同様に、長期熟成資質を主体としたスタイルで、10年経過した現状でもかなり苦味が強く、バランス的には多少難がある傾向にはありますが、それでも内包するポテンシャルはかなり高い印象を受けます。2007年とは異なり、時間とともに徐々に開花する傾向にあるのが興味深く、抜栓翌日、さらに翌々日と、時間の経過とともに焦点が合うようになり、結果、当初の印象を覆すだけの世界観を構築するに至ります。今回のロットは状態が良かったということもありますが、ポテンシャルピークはまだまだ先、更に5年程度は様子を見たい印象でもあります。
熟度は高いものの、サンジョヴェーゼらしい軽やかな酸が心地よく、墨汁やインク、そして梅を感じるニュアンスなど、凝縮感と精緻さを同時に兼ね備えているような表情で、まさにトスカーナという大地が育むメルローとサンジョヴェーゼ、その両方の魅力が見事に共存していると言えそうです。同じメルローで造られるリコルマや、ガルナッチャで造られるアルト・モンカヨとも共通する要素が感じられ、高いクオリティを保持しているのは確かですが、それでも全体的なバランスの問題や、完全に開くまでに時間がかかることなど、一般向けとは言いにくい側面があるのも確かなので、基本的にはワインに対して深い造詣を持つ層に対して訴求する立ち位置だと言えるかもしれません。
(2020/03)