- Very Good Quality -
クリス・リングランドの手腕が光る、非常に高い評価を得るモダン・スパニッシュの筆頭格がこの「ボデガス・アルト・モンカヨ」。最上位キュヴェとしては「アクイロン」が存在していますが、実質的なフラッグシップは、造り手と同じ名を持つこのキュヴェとなります。
ベラトンを超える果実のエネルギー密度が印象的で、揺らぐことのない安定した土台に、微細かつ均質な体躯内要素が滑らかに伝わってきます。ベラトンとは異なり、樽要素が突出することなく各要素が綺麗に溶け込んでいるので、葡萄のもつ高密度の凝縮感を素直に楽しむことができます。アルト・モンカヨのワインはいずれも濃密でありながら、瑞々しさと滑らかさ、そしてバランスの良い酸を含有していることで口当たりの良い酒質を堅持していますが、それでも今回の1本は超高アルコール(16%)からくる圧倒的な迫力がボディブローのように迫り来ることもあり、これまでの中では最もアルコールの高さを直に感じる世界観となっています(飲み過ぎ要注意)。
翌日に持ち越すと、凝縮したプラム風味と共に梅やヨードを感じる旨味が広がるようになり、より魅力と構成力に富む世界が構築されていきます。2009年ヴィンテージは下のクラスのベラトンのコストパフォーマンスがより印象的でしたが、価格が上昇傾向にある分、逆にこのアルト・モンカヨのポテンシャルの高さが際立つようになったとも言えそうです。アルコールの高さは確かに気になりますが、それでも技術の高さと葡萄の力が高い次元で組み合わさった非常に優れた1本なのに違いはないので、1年に1度を祝うような特別な場面での活躍が期待できそうです。
(2017/11)