- Very Good Quality -
モノポールの「ロマネ・コンティ」を所有することで有名なDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)ですが、通常はグラン・クリュ(ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、グラン・エシェゾー、エシェゾー)しか生産しないものの、今回のものは1930年代以降、約70年ぶりに生産されることになったプルミエ・クリュの「キュヴェ・デュヴォー・ブロシェ」となります(当時のものは若木を中心にボトリング)。
DRCのオールド・ヴィンテージは、数年前に試飲した1967年のリシュブール以来となりますが(レビュー未掲載)、やはりDRCは熟成によって大きく変化し、若い頃とは全く異なる表情が構築される傾向にありそうです。今回のキュヴェ・デュヴォー・ブロシェは、収穫後約6年程度で一度試飲していますが、当時の魅力溢れる分かりやすい果実味主体の世界観とは大きく異なり、果実そのものはやや枯れ、若干の退廃感とともに古酒の世界に突入し始めた印象を受けます。しかし、果実感の変化とは裏腹に、ボディそのものは濃密で揺らぎなく、ヴォーヌ・ロマネらしい豊かなボリューム感が、20年という時の経過を感じさせないレベルで存在感を放っています。
既に単純に味覚で楽しむような世界観からは脱しているので、良質なブルゴーニュのワインが持つ固有の表情、その圧倒的な説得力を心から実感できる人向けとなっている印象でもあり、もし純粋な果実味由来の美味しさを楽しみたいような人であれば、もう5〜10年程早く飲んだ方が良さそうな印象でもあります。とはいえ、揺るぎないボディとその内部に感じられるポテンシャルは、まだまだ10年以上の熟成に耐えるレベルなので、もし完全に枯れ切った古酒の世界を好む人であれば、まだ当分の間はその存在を忘れておいた方が良さそうです(とはいえ、個人的には10年程度の熟成で飲むのが一番楽しめそうな印象)。
(2005/03、2019/02)