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モノポールの「ロマネ・コンティ」を所有することで有名なDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)ですが、通常はグラン・クリュ(ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、グラン・エシェゾー、エシェゾー)しか生産しないものの、今回のものは1930年代以降、約70年ぶりに生産されることになったプルミエ・クリュの「キュヴェ・デュヴォー・ブロシェ」となります(当時のものは若木を中心にボトリング)。
抜栓直後はややこぢんまりした状態でしたが、数10分程度で開き始め、徐々に本来の姿を披露し始めます。現状でもっとも印象的なのが魅力たっぷりの豊満な果実味。なにも考えずに飲んでも楽しめる程の外向的な表情が心地よく、絶妙な樽の使い方と相まった素晴らしい表情を遺憾なく打ち出してくれます。
ヴォーヌ・ロマネらしい力強さがあり、土っぽさや乾燥した枯葉のような要素も感じますが、今のところ複雑さは持ち合わせておらず、ムッチリと身の詰まった若々しいエネルギーを堪能するという方向性になっています。果実味の表情が恐ろしく魅力的なので、アタックだけで一気にヤラれてしまいますが、フィニッシュがやや軽く僅かに希薄さを感じるので、このあたりはグラン・クリュ(主にラ・ターシュ)の摘み残しを格落ちさせてのプルミエ・クリュという実情が見え隠れしているのかもしれません。
とはいえ、既に味としてどうこう言うような次元にはなく、静かに、そして確実に、体の隅々にまで行き渡る絶対的訴求力が侵攻してくるので、脱出不能の圧倒的世界観が自ずと意識下に入り込んできます。絶対的な価格としては確かに高価であり、おいそれと手が出るようなものではありませんが、相対的に考えた場合は決して高いとは言えず、客観的にみても十分納得できるコストパフォーマンスを維持できていると感じます(それでもラベル飲みは必須)。
プルミエ・クリュでこれほどの世界観を呈示してくれるのであれば、1999年のグラン・クリュは一体どうなってしまうのでしょうか…。どうせ買うならプルミエ・クリュよりはグラン・クリュを…という気もしますが、プルミエ・クリュの生産は約70年ぶりという記念碑的な要素もあるので(続いて2002年ヴィンテージも造られるようです)、こちらを選択しておいても失敗するようなことはないと思います。
(2005/03、2019/03)