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今や世界的にも非常に有名な日本酒となったのが「獺祭」。一般的な日本酒は、醸造における監督責任者となる杜氏を筆頭にして、長年の経験と知識を持った蔵人達で造るという伝統がありますが、そういった伝統的な手法を根本から改革し、杜氏を設けず社員のみで造るという前代未聞の手法を取り入れたのが最大の特徴です。精度の高い品質コントロールによって、年間を通じて安定供給することを可能にした、新時代の日本酒だとも言えます。なお、獺祭には数多くの種類が存在しますが、今回試飲したのは通常の獺祭よりも精米歩合をより低く抑えた「磨き」というシリーズになり、精米歩合によって「23」「39」と2種類に分けられています。
獺祭の中では、コストとのバランスが程よく取れている傾向にある「純米大吟醸 磨き三割九分」。国産の米(山田錦)と米麹を使用し、精米歩合39%で造られています。心地よいフルーティーな吟醸香が広がり、より優しく豊かなボディと、口中上部へと昇華していく余韻が印象的です。50よりも集中力と結束力があり、体躯コアの実像もより明確な傾向にあります。思ったよりも時間とともに表情が変化していく印象があり、抜栓後数日で芳醇系から硬質系にやや質感が変化する傾向にありましたが(ある意味、味覚で楽しむ系から品質を楽しむ系へのシフトと言えるかも?)、獺祭が持つ世界観そのものに変化はないので、概ね変わらず楽しめると思います。
スパークリング50と39で感じた程の差はありませんが、その分、清酒については50と比較してもそこまで大きな価格差ではないので、総合的に考えるとこの39が最もコストとのバランスが取れている印象でもあります。
(2017/02)