- Very Good Quality -
今や世界的にも非常に有名な日本酒となったのが「獺祭」。一般的な日本酒は、醸造における監督責任者となる杜氏を筆頭にして、長年の経験と知識を持った蔵人達で造るという伝統がありますが、そういった伝統的な手法を根本から改革し、杜氏を設けず社員のみで造るという前代未聞の手法を取り入れたのが最大の特徴です。精度の高い品質コントロールによって、年間を通じて安定供給することを可能にした、新時代の日本酒だとも言えます。なお、獺祭には数多くの種類が存在しますが、今回試飲したのは通常の獺祭よりも精米歩合をより低く抑えた「磨き」というシリーズになり、精米歩合によって「23」「39」と2種類に分けられています。
獺祭の中では、最も精米歩合が低く最上位ランクに位置するのが「純米大吟醸 磨き二割三分」。国産の米(山田錦)と米麹を使用し、精米歩合23%で造られています。基本的な世界観は39に準拠した内容ですが、相対的に吟醸香はやや控えめで、甘み要素は口に含んでから広がる傾向にあります。吟醸らしいフルーティーさはあるものの、甘みに輪郭がしっかりあり、雑味のないクリアさを伴って、端的な指向性をより明確にしている印象でもあります。精米歩合の低さが物語るかのように、どこも引っかかる部分がなく、その佇まいはやや軟質の水のような雰囲気でもあり、はっきりとした主張を感じない系譜とも言えます。39と比較しても相対的にかなり高価なので、一般向けというよりは、獺祭の世界観をより深く掘り下げたい人向けとも言え、そういった意味においては、さらに上の価格帯に位置している「遠心分離」シリーズ同様、しっかり向き合ってゆっくりと噛みしめるように嗜みたいところではあります。
(2017/02)