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「シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌ」は、バルサックの有名な「シャトー・クリマンス」と「シャトー・クーテ」のすぐ南東に位置していますが、隣には同じ「ドワジー」という名を冠したより名高い「シャトー・ドワジー・デーヌ」があることもあってか、多少陰に隠れた印象が強いかもしれません。
2007年はソーテルヌにとって素晴らしいヴィンテージとなりましたが、以前試飲した偉大なヴィンテージの2009年と比較すると、相対的には少しサッパリとした傾向にあり、より現実的なレベル(特別な日でなくても楽しめる雰囲気)を推移しているように感じます。
洗練度としてはドワージー・デーヌに分がありますが、ヴェドリーヌは粘度を感じる質感に、より蜂蜜を感じるたっぷりの甘み、そして橙系のシトラス風味や酸が相まって、良質なソーテルヌ(バルサック)像を具現化したかのような、安心して身を委ねることができる落ち着きや安心感(ある種の素朴さ)がとても魅力的です。
ヴェドリーヌは、バルサックとしてはクリマンスやクーテに匹敵するほどの広大な畑を持ち、生産量も比較的多くなっていますが、極端に収量を落としている点や、知名度や市場の評価も相対的に低めなこともあって、そのコストパフォーマンスはかなり高くなっています。バルサック随一とも言われる濃厚な甘みはより幅広い層に訴求する要素とも言えるので、凝り固まったイメージにとらわれず、より前向きになって試してみてもらいたいところです。
(2012/04)