- Good Quality -
オー・ボン・クリマの原点とも言える「ロス・アラモス・ヴィンヤード(95%)」と、「ル・ボン・クリマ・ヴィンヤード(5%)」をブレンドした、「ヒストリカル・コレクション」と呼ばれるアイテムがこの「キュヴェ V」となっています。基本的にはカレラのキュヴェ Vと同じで、インポーターのヴィノラムによるプライベートブランドというカテゴリーに位置しています(他にもアンペリデやアルフォンス・メロにもキュヴェ Vを造ってもらっている)。
エスポワールと比較すると、各要素の表情間に明確なコントラストがあり、良くも悪くもしっかりとした主張を感じます。抜栓日は樽風味がやや前に出て、酸や果実系の甘味も感じられますが、相対的に前年の2009年よりは落ち着いている印象です(瓶熟期間を長めにとった効果が多少はあるのかも?)。
予想通り、日を持ち越すことで余計な要素が解れ、不要な樽風味がなくなっていくとともに、本質的な質実さが表出します。それでも果実味がやや残る傾向にはありますが、兼ね備えた素性そのものはそう悪くないと思います。ただ、他の造り手のキュヴェ Vにも共通していますが、「得るものがあれば失うものもある」といったスタンスがベースにあるので、手放しに喜んで良いかどうかについてはやや疑問が残ります。エネルギー総量はキュヴェ Vに譲るものの、無理のない歩調でバランスよく広がるエスポワールの方が、個人的には扱いやすい印象を受けます(価格も含め)。
(2013/04)