- Good Quality -
オー・ボン・クリマの原点とも言える「ロス・アラモス・ヴィンヤード(95%)」と、「ル・ボン・クリマ・ヴィンヤード(5%)」をブレンドした、「ヒストリカル・コレクション」と呼ばれるアイテムがこの「キュヴェ V」となっています。
かなりしっかりとした酒質で、現状では若さからくる固さや収斂性が多少残っている傾向にありますが、カリフォルニアで採れる新鮮なラズベリーをそのまま頬張っているかのような「瑞々しく凝縮した果実味(日本の一般的な果物にはない充実感)」による訴求力が高く、仄かに小屋系の風味が感じられるものの、アクセントになる程度に抑えられてることもあってか、全体像としては概ね良好なものとなっています。同じロス・アラモスのシャルドネと同様に翌日になると表情に変化が見られ、果実感のかわりにより質実で堅牢性ある側面が前面に出るようになり、アルコールのしっかりした力強さをより感じるようになりますが、表面的な変化とは別に、時間が経過すればするほど真のポテンシャルが滲み出てくる傾向にあったので、理想をいえばもう少し熟成させた方が良い結果が得られるかもしれません。
通常のサンタ・バーバラとは指向性(構成要素のバランス感)がやや異なる印象ですが、比較的万人受けしやすくすぐに飲んで楽しめたサンタ・バーバラとは異なり、ロス・アラモスの方はもう少し質実系の要素に力点が置かれているようでもあり、やや通向けの側面が色濃い傾向にあるので、日常で飲むというよりも、飲み手の意識をより明確に注視させるような場面の方が向いているかもしれません。
(2011/04)