- Good Quality -
単一クリュのキャンティ・クラッシコとなる「ヴィーニャ・デル・ソルボ」は、最良区画のサンジョヴェーゼをベースに、少量のカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドして造られます。熟成にはアリエとトロンセ産のバリックが使用され、期間は24ヶ月間となっています。
まさに「リゼルヴァ」といった樽の効いた苦みがコアにあり、暑かった2003年らしい高い糖度を感じる果実味が印象的です。甘さを感じるといっても、想像以上に酸を多く含んでいることや、サンジョヴェーゼらしい冷ややかな質感などが感じられることもあり、緩んでダレてしまうような崩壊感はないので安心して飲むことができます。体躯がやや柔らかい傾向にあり、偉大なキャンティ・クラッシコに見られるような荘厳な建築美はないものの、低層でもしっかり足場は固めてくれるので、必要な安定感は兼ね備えているといえます。
手駒を駆使してキッチリ仕事をこなしてくれていることもあってか、分かりやすい表層的な美味しさはしっかり確保されています。まさに「2003年のヴィーニャ・デル・ソルボ像」を堪能するのに相応しい世界観なので、毎年のように飲んでいる人にとっては積極的に選択する価値のあるヴィンテージだと言えます(経験という大きな価値が得られる)。しかし、たとえ表層的な美味しさがあるといっても「考えて選ぶべきヴィンテージ」であることに違いはないので、今回が初飲みという人はできるだけ避け、よりスタンダードで美点も明確な1999年、2001年、2004年を選択することをお薦めします(そういう意味では1996年のカステッロ・ディ・フォンテルートリと立ち位置が似てるかも?)。
(2008/11)