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ボジョレーという地で、20年前から古典的な有機農法や醸造を実践し続ける自然派の重鎮「マルセル・ラピエール」のクリュ・ボジョレー「シェナ」です。
一定幅で佇み進む硬質感の中に、明確な表情とトーンを持った酸が印象的です。抜栓日はややミッドの力具合というか、体躯そのものの存在に欠ける印象でしたが、翌日に持ち越す頃には、当初は気配すら感じられなかった魅力たっぷりの果実味と、適度な豊かさを持った体躯がそこに鎮座していました。
モルゴンやムーラン・ナ・ヴァンほどではないものの、比較的パワー系に分類され、その高い熟度によって黒系果実の香りが特徴とされるシェナですが、今回の印象では酸が活きたキュートな赤系果実といった感じで、シェナらしい固さや太さはあるものの、そういう細部の表現よりもとにかく「良いヴィンテージのワイン」ということがひしひしと伝わる内容になっていました。シルーブルほどのピュア感はありませんが、モルゴンほど我の世界に没頭しているという感じではないので、ある意味ちょうど良いスタンスだと言えるかもしれません。
(2007/04)