- Very Good Quality -
最も優れた葡萄のみで造るフラッグシップワインとして、造り手の名前がそのまま刻み込まれた「テヌータ・ディ・ヴァルジャーノ」が世に送り出されています。この1999年がファースト・ヴィンテージとなり、サンジョヴェーゼ60%、シラ-20%、メルロー20%というセパージュで、7,140本、600ケースが生産されています。
抜栓日は、ビターチョコやバニラ風味の甘みなど、樽的要因や現代的な造りに起因する要素が前面に立ち、1999年ヴィンテージのサンジョヴェーゼワインとは思えない程の享楽さをみせてくれます。とはいえ、その奥にはサンジョヴェーゼらしい硬質で緻密な体躯が美しく居並び、その秘めたる美点が仄かに伝わってきます。
翌日に持ち越し完全に開ききると、まさに「初志貫徹」といった居合いの様相を打ち出し、これぞまさに「1999年のサンジョヴェーゼワイン」と言えるスタイルへと昇華します。しかし、外来品種のブレンド比率がやや高いこともあり、アマのキャンティ・クラッシコやカステッロ・ディ・ブローリオよりは融和でたおやかな表情を見せてくれるので、全体の難易度としてはやや抑えられた印象を受けます。
サンジョヴェーゼの本質に美点を見いだせない人にとってはあまり魅力を感じられないかもしれませんが(意外と多そう…)、自身の葡萄に対する理解度も高く、うまく葡萄のポテンシャルを引き出している印象を受けるので、バランスの良さや精緻さからくる世界観は十分理解できると思います。そういう意味では、小手先の技術で造っただけの「今風ワイン」とは一線を画す造りとなっているので、まさに現代におけるサンジョヴェーゼの美点をストレートに活かし、うまく「テヌータ・ディ・ヴァルジャーノ」としてのアイデンティティを表現できているとも言えます。総じてファースト・ヴィンテージとは思えない完成度を見せてくれるので、サンジョヴェーゼ系が好きな人は是非チェックしてみることをお薦めします(フォンタッローロが好きな人は結構ハマるかも!?)。
ちなみにワイナートでは、サンジョヴェーゼベースのワインでトップランクに立つ「ペルカルロ」の1997年(トスカーナのグレート・ヴィンテージ)と同評価を得てベスト1に選ばれています。
(2006/03)