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バロン・フィリップが所有する3つのシャトー(ムートン・ロートシルト、ダルマイヤック(旧ムートン・バロンヌ・フィリップ)、クレール・ミロン)の内のひとつで、ムートンとラフィットの間に畑が位置するという素晴らしい立地条件となっています。
バロン・フィリップに買収されたのが1970年なので、かなり初期のヴィンテージということになります。パーカーの評価はあまりよくありませんが、状態の良いオールド・ヴィンテージはパーカーの評価を大きく上回るポテンシャルをみせることが多いので、必要以上に気にすることはないと思います。
キャップシールやラベル等、ボトルの外見がかなり綺麗だったので、当初はリコルクボトルだと思っていました。しかし、実際にはリコルクされていなかったので、単に出荷時にラベルが張り替えられただけなのかもしれません。
抜栓直後はややフラットで、未だに絶対的な底力を持ったタンニンと立ちのぼる酸味が気になります。その後暫くは酸味が先行するのですが、30分~1時間ほどで奥底から果実の柔らかな甘みが表出し、やっかいだった酸味をうまく包み込んでくれます。さらに翌日まで持ち越すと、柔らかな果実味が強固な渋みを兼ね備えた絶対的なタンニンに対して歩み寄り、一体化するために折り重なろうとする姿に素直に驚かされます。
やはり1975年というヴィンテージはタンニンが突出している傾向にあるので、最良のバランスを見出すのが非常に難しくなりますが、それでもまだ果実が生きていて、頑固なタンニンに負けない姿を見せられると、このワインのピークはまだまだ先なのではないか!?という気持ちにすらさせられます。
以外とあっさりしているので、決してヘビーで飲めないようなタンニン力ではないのですが、舌が渋柿を食べた後のようなバシバシした状態になるので、かなり舌触りの悪い印象を受けてしまいます。1975年らしいヴィンテージの傾向が色濃くみられ、バランスもそれほど良くはありませんが、奥底から湧き出る若々しいエネルギーを汲み取ると、やはりポテンシャル的にはある程度評価できるという結論に行き着きます。とはいえ、バロン・フィリップ系に思い入れがあったり、1975年というヴィンテージに魅力を感じている場合でなければ、無理してまで飲む必要はないと思います。
(2005/11)