- Very Good Quality -
1855年当時の格付けでは2級でありながら、1973年には他の4つの1級シャトー(ラフィット、マルゴー、ラトゥール、オー・ブリオン)の承認を得て見事1級格付けを獲得した、「シャトー・ムートン・ロートシルト」の1975年産ワインです。セパージュはカベルネ・ソーヴィニョン77%、メルロー11%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド2%となっており、ラベルは「アンディ・ウォーホル」が描いています。
今回は抜栓後すぐにデキャンタに移し、その後7時間待ってから試飲しました。 色は完全にオレンジ色になっているものの非常に濃く、香りも豊かで衰えは感じられません。味の方は古酒らしい穏やかで心地よいものでしたが、飲み初め当初の若干の酸味が気になるところです。しかし、そこから時間と共に徐々にスタイルが変化し、2時間程たった頃には優しい果実力の周囲から徐々に力強さが増してくるという不思議な構造を生み出していました(明らかに、同時に飲んだ97プティ・ムートンを上回る力強さとタンニン力でした)。
トータルとして捕らえると、昨年飲んだ75年のラトゥールをスケールダウンさせる変わりに華やかさを追加したような印象でしたが、純粋な味そのものにはそれほど特筆するものはないのかもしれません。ただし、「線香花火のように灯火は小さくとも力強い光を放つ様」には、少なからず訴えている何かを感じさせられると思います。まさに「飲み手にすべてが委ねられている」と言える懐具合であり、このワインに対して評価をすること自体が無意味とも思える程です。しかし、それは逆に言うと理解できない場合も多々あるということなので、そういう意味では比較的難しいワインなのかもしれません。
ちなみにこのワインは、ロバート・パーカーが選ぶ1975年のポイヤックにおける3本しかないベスト・ワインのうちの1本となっています(残りはラトゥールとラフィット)。
(2001/11)