- Good Quality -
スタイルは大きく異なりますが、真のグラン・ヴァンたる「カステッロ・ディ・ブローリオ」のセカンド的ポジションに位置するワインです。今回の2002年ヴィンテージは不作だったこともあり、カステッロ・ディ・ブローリオはいっさい造られず、全ての葡萄を格下げしてこのブローリオとして出荷されました。このヴィンテージは買い葡萄系のカザルフェッロも生産されず「カンポ・チェーニ」として格下げされていますが、不作とは思えない程の良質なポテンシャルを発揮しているので、逆に要チェック銘柄だと言えます。
リカーゾリらしい凝縮感があり、黄系果実の風味やサンジョヴェーゼらしい果実味や酸など、表情豊かな各要素が次々と目の前を通り過ぎていきます。ややスケール感に乏しく(構造が薄め)、テクスチャに現れる僅かなザラつきが気になりますが、モダンな造りで外向的なブローリオらしい仕立てになっているので、現状でも素直に美味しく飲めると思います。
本来カステッロ・ディ・ブローリオになるはずだった葡萄が使用されているので、当初は筋の通った背筋の張りや拡張高さが付随されているかも…という期待がありました。しかし、実際にはあくまでもブローリオとしてのアイデンティティが堅持されており、カステッロ・ディ・ブローリオとしての血筋や世界観、そして根底にある訴求力といった部分は兼ね備えていませんでした(当然と言えば当然ですが…)。表層的には美味しく、このカテゴリーを超えるようないくつもの表情が垣間見れますが、現段階では統一感にやや欠け(もう暫く寝かせればグッと良くなりそうな印象)、絶対的な訴求力不足が少し気になります(あわせて価格の上昇も気になるところ…)。あまり深く考えなければ楽しめますが、高評価の声を鵜呑みにして過度の期待を持ってしまうと、やや残念な結果になる可能性もあるので注意が必要です。
(2005/03)