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今回の1998年ヴィンテージから、リゼルヴァではなく通常のキャンティ・クラッシコへと変更がなされました。しかし、相変わらず高品位で想像を超えるポテンシャルを発揮してくれるので、リゼルヴァからの脱却はカステッロ・ディ・ブローリオと同様の理由からなのかもしれません(リゼルヴァの名がとれただけで実際の熟成期間は以前のまま)。
抜栓直後の印象は、綺麗で艶のある酸、フレッシュで華やかな果実の甘み、そしてフィニッシュにかけて凝縮されたタンニンの層と、各要素がはっきりとした表情を見せるものの、基本的には「酸を基調とした良質なキャンティ」という印象にとどまる程度でした。1997年の印象が強かったので最初は少し残念な気分でしたが、20分~30分経過後ぐらいから各要素がひとつの方向に向かいはじめ、1時間30分ぐらいで本来の姿が表れはじめます。酸、果実、タンニンの3本柱はまだ完全に融合しきっているわけではありませんが、艶のある酸を纏った赤系果実の甘みが秀逸で、余韻も比較的長く続きます。黄系果実やオリーブのような風味が出る時もあり、それ全体が醸し出す世界観にすっかり魅了させられました。
確かに1997年のスタイルとは異なりますが、これはこれで違った魅力があり非常に美味しく飲むことができます。サンジョヴェーゼ(15%のカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド)とフォンテルートリ区画が織り成す様々な表情を肯定的に受け止めることができるならば、本来のポテンシャルを十二分に引き出せると思うので、また違った世界観を見せてくれる1996年との飲み比べというのも面白いかもしれません。
ちなみに、このワインは2002年度版のガンベロ・ロッソで2グラスとなるドゥエ・ビッキエーリを獲得しています。
(2003/02)