- Very Good Quality -
ボルドーの格付けで1級に位置付けられている五大シャトーの中の1本、シャトー・ラトゥールです。今回が初の五大シャトー試飲になるのですが、最初にしていきなり75年のラトゥールということなので、大いなる期待と不安でいっぱいでした。
75年と言えば70年代で言うと70年に続く偉大なヴィンテージです。この75年は男性的と言われるラトゥールの中でもとりわけタンニンが強いと言われているだけあって、非常に強烈なパワーとエネルギーに満ち溢れています。ただ、25年の歳月がたっているとはいえ、まだまだこれからが本番といった感じがするので、場合によっては後数年間は熟成させたほうが美味しく飲めるかもしれません(あくまでも今回飲んだ1本の感想です)。
肝心の味ですが、想像していたものとはまったく違う世界観でまさに圧巻です。抜栓直後から1時間程度は、正直この程度がラトゥールなのか?と落ち込んでしまうような印象でしたが、1時間30分をこえたあたりから状況が一変。まさに分単位で強力なタンニンとパワーがじわじわと滲み出てきます。大きく解放されるようなものではなく、ボディーブローのように地味でありながらも効果的なタンニンが特長で、3〜4時間以上たつころには抜栓直後の姿が嘘のように変化していました。しかし正直言うと、その全てを受け止め理解しきることは難しい事のように思います。一緒にテイスティングした人の感想は良くも悪くも様々でしたが、個人的には大いなる魅力を感じました。確かに偉大な世界観だけでなく価格面という大きな問題があるので一般にお薦めすることはできませんが、一概に他のワインとはくらべられない魅力的な一面が存在するのは確かです。このワインにどれだけの価値を見い出せるかは、良くも悪くも「飲む人しだい」といったところかもしれません。
ちなみにこのワインは、ロバート・パーカーが選ぶ1975年のポイヤックにおける3本しかないベスト・ワインのうちの1本となっています(残りはラフィットとムートン)。
(2000/11)