- Good Quality -
契約栽培農家でもある余市町の木村農園のピノ・ノワールの内、樹齢が15〜35年の物を使用した千歳ワイナリーを代表するキュヴェ。発酵はタンクで行い、熟成はフレンチオーク樽で約8ヶ月、生産本数は僅か5,512本となります。
基本的には千歳ワイナリーらしい落ち着きのある纏まった佇まいに仕上がっていますが、新キュヴェでもあるノンフィルターのくららとは大きく異なり、終始クリアかつクリーンで製品としての安定感がより意識されているような傾向にあります。全体的に風味が穏やかという共通点はありますが、それでも思いの外抽出はしっかりしていて、噛みしめるほどにじゅんわりとした旨味が程よく伝わってきます(ボディの土台部分も意外と充足感がある)。
抜栓日は落ち着いたピノらしい果実感が広がり、翌日に持ち越すと酸が前に出始め、さらに3日目になるとタンニンの主張が強めに出る点など、その表情や資質の変化推移はくららと比較的似ていますが、それでも終始一定の範囲内で安定的に変化している印象です。そしてバレルセレクションとなるプライベートリザーブとの違いですが、以前試飲した2018年との比較だと、価格差があまりにもありすぎるのでこちらのスタンダードキュヴェの方が圧倒的にコスパが高い印象ですが、その反面、今回試飲した2019年との比較だと、思った以上に世界観や全体的なパッケージングに差がある印象なので、価格を一切気にしない富裕層であればプライベートリザーブの方が明確に満足度が高くなりそうです(ヴィンテージを重ねるごとに進化が見られるので基本的には最新ヴィンテージがお薦め)。
(2023/03)