- Very Good Quality -
セパージュは全てカベルネ・フラン100%ですが、異なる土壌から特定の味わいを持つ葡萄が生まれることに気づき、最終的に3つの区画からそれぞれ独自のラベルでボトリングされることになったのがこのカンポシリーズ。標高500mにあるカンポ・ディ・テナリアの区画は、約2.5mの砕けた石灰岩と砂質土壌で構成され、広さは3つの区画の中では最小で僅か0.8ha、樹齢は25年、密植度は10,000本/ha、生産本数は1,600本のみ(裏ラベルでは1,900本)。熟成はフレンチオークの新樽で8ヶ月、セメントタンクで11ヶ月。
微細で泥のような澱を多く含んでいることもあってか、エッジまでしっかりとした濃い色調で、その見た目に則した屈強さが最大の特徴となっています。同じカベルネ・フランで造られるワインですが、マニャコスタとはかなり異なる表情になっていて、表層の流麗さや全体的なパッケージング、そして高い凝縮感と緻密な要素で構成されるモダンなハイエンドワインというポジションは共通しているものの、それでも構成要素は比較的シンプルかつ端的で、ヒリヒリと全体を引き締める張りを持ち、終始際立った重厚かつ膨大なタンニンが全体を支配している傾向にあります。抜栓直後は、カベルネ・フランらしいハーブのトーンがマニャコスタよりもしっかり感じられますが、時間とともに屈強なタンニンが隅々まで行き渡るようになり、かなりの長寿命系ワインだということがひしひしと伝わってきます。
あくまでもトスカーナ的な甘美さを兼ね備えたマニャコスタに対し、テナリアは古き良きボルドーワインが持つような圧倒的なタンニン力を有している印象で(75年のラトゥールやペトリュスが脳裏をよぎる)、表層的にはフランケッティのワインらしく滑らかで良好な口当たりがあり、膨大なタンニンと高アルコール(15%)を感じさせないバランスの良さも健在ですが、それでも後味にかけて強い収斂と渇きが口中を襲うので、やはり受ける印象としては「ザ・タニック」と言った印象です(とは言え受ける印象は不思議なほどポジティブ)。
抜栓翌日に持ち越すとさらにタンニンが全体を支配する傾向にありますが、それでもバランスが良好なこともあって、正面から向き合ってもそこまで体力を必要するわけではなく、さらには今からでも普通に飲める状態なのも確かです。とは言え、かなりのポテンシャルを有した長寿命系ワインなので、じっくりと時間をかけて熟成させてから楽しむというのも、そう悪くはない選択肢かもしれません(味覚で楽しむよりも高いポテンシャルを具に感じたい人にお勧め)。
(2022/10)