- Good Quality -
一般的なマスカット・ベーリーAは早飲みタイプのワインが多い中、現行ヴィンテージで2015年という長期熟成型の稀有なタイプとなっています(正確にはリリースされたばかりの2016年が現行ヴィンテージ)。
一定の熟成によって全体を通してかなり落ち着き整った表情のなのが印象的で、表層的には小樽熟成らしい仄かなバニラの風味や、酵母由来と思われる華やかな香味がしっかりと感じられるものの、液質そのものはいたって薄くて軽やかということもあり、全体的にかなり「ブルゴーニュらしい雰囲気」を持つスタイルになっています。決して熟成感が出ているようなタイプではなく、表情はあくまでもベーリーAらしいフレッシュさを生かしたじんわりと染み入るタイプなので、通常よりも熟成期間が長いのは、あくまでも表情を落ち着かせるためのものだと言えそうです。
直前に試飲したレヴァンヴィヴァンのベリーA発光体とは180度真逆のアプローチなのが興味深いところではありますが、総じて葡萄そのものよりも、最終的にワインになった時の完成図に注視して構築されているような傾向にあるとも言えそうです。ただ、同社のデラウェア・オレンジの試飲でも同じ傾向にあったのですが、抜栓日の印象はいたってポジティブなものの、翌日に持ち越すと想像とは少し異なる方向性で全体的に減衰する傾向にあるのがやや気になるところではあります(特に今回のロットは翌日にややオフフレーバー気味の酸が強く出る傾向にあった)。
(2022/02)