- Good Quality -
畑は3地区の中では最も高く約330m。土壌はフレダと同じボックフェルド・シェール(3億5900万年〜4億1600万年前)と呼ばれる石と粘土が多い頁岩ですが、標高の高さから気候は冷涼で、他の地区よりも生育が1ヶ月程遅くなっています。発酵はフレンチオークの小樽(228l)で野生酵母による自然発酵。樽はフランソワ・フレール61%、メルキュレイ35%、シャサン4%。樽の製造年は2018年が26%、2017年が22%、2016年が7%、2015年が45%で11ヶ月間熟成。生産量は490ケースのみ。
程よい果実の甘旨味に、適度なボリューム感のボディ、そしてしっかりと芯の通った酸と、ストームらしい良質なピノ・ノワール像が抜栓直後から広がり、現時点で既に他の2つのキュヴェよりも各要素のバランスや一体感に秀でている傾向にあります。全体的に、イグニスとフレダの両方の良さを兼ね備えたような印象ですが、それでも若いヴィンテージの割には妙に整っているような印象でもあり、明確な訴求力を放っているというよりは、むしろ自然と飲み進めることができ、ふと気がついたらボトル1本飲み干しているような系譜にあるとも言えそうです。
抜栓日の印象だと、他の2つのキュヴェと同じクオリティ水準にあるように感じられましたが、翌日に持ち越すと果梗を感じる青みのあるスパイシーさと、そこに並走する酸が主体となり、魅力的な果実要素がマスキングされてしまう傾向にあったので、他のキュヴェとは違って抜栓日にポテンシャルピークが来ているような印象なのがやや気になるところではあります。とは言え、他のキュヴェと同時比較しなければ十分納得できるだけのクオリティは発揮してくれるので、決して選んで失敗するようなことはないと思います。
(2021/10)