- Good Quality -
ヴィンテージが刻印されたスパークリング日本酒という珍しいアイテムですが、今回のロットはヴィンテージが2019年、生産年月日が2020年の5月となっています。生産本数は僅か498本のみで、全て専用の化粧箱入り、さらには1本1本にロットナンバーが手書きで記されています。
アルコール度数は13%、使用される米は八反錦と風鳴子、精米歩合は55%、そして使用する酵母はCEL-24とAA-41。酒蔵の亀泉酒造では、使用している酵母の「CEL-24」、そして「高育63号(AA-41の開発時名称)」と銘打った純米吟醸原酒をリリースしているので、今回のペルルは、この両者の純米吟醸酒をベースにしたスパークリングバージョンと言えるのかもしれません。
今回のロットは、製造年月日が1年以上前とかなり古いこともあり、正直、飲み頃は完全に過ぎているのではないかと懸念していましたが、確かにフレッシュさはなく表情に陰りが見られるものの、それでも泡物らしい瑞々しさは感じられ、同じく1年以上前のロットだった庭のうぐいすとは異なり古酒的な退廃感は特に感じられません。とはいえ、根本的に気になるのが「日本酒としての風味の弱さ」で、アタックに穏やかな口当たりとともに軽く風味が広がるだけで、そのあとは急速に余韻が切れるので、良くも悪くも印象が残らない傾向にあります。造り自体は概ね良好ですが、ガス入りのミネラルウォーターを飲んでいるかのようなニュートラルさが終始続くので(アルコール感もかなり穏やか)、決して食事を邪魔するようなことはないものの、飲み手に訴えかける要素はほぼなさそうな印象です。
ちなみに、製造年月日が新しい2020年ヴィンテージは、同じ指向性を持った世界観ではあるものの、それでも風味も豊かで明確な表情を持ち合わせていたので、やはり通常の日本酒と同じように早く飲みきってしまうことが重要で、遅くともリリースから半年以内には飲みきって欲しい印象です。
(2021/08)