- Good Quality -
2019年は葡萄の出来が良かったこともあり、通常行うドサージュ(補糖)を一切行わず、葡萄本来の持ち味を生かした「ドサージュ・ゼロ」をリリースしています。
セパージュは、レジェント55%、ブラウフレンキッシュ18%、バッカス14%、ツヴァイゲルト5%、ピノ・ノワール4%。いずれも余市町登町にあるキャメルファームの畑で栽培されています。
色調はエクストラ・ドライと同様に薄めですが、仄かに黄色や緑がかった印象を受けます。ヴィンテージのスタイルが出ているのか、2018年のブリュットよりも2019年のエクストラ・ドライに似た世界観で、青リンゴやイーストのニュアンスは感じるものの、基本的にはニュートラルでスッキリとした仕上がりになっています。泡の質感は丸みがあるもののガス感はやや強めで、終始甘さを感じないドライな表情ではありますが、シャンパーニュにおけるドザージュ・ゼロとは異なり、決してシャープ過ぎて飲みにくいというようなことはなく、むしろ純粋な果実味とのバランスが取れているので素直に飲みやすく料理とも合わせやすい印象を受けます。最初の一口だけの印象だと、言われなければ補糖をしてないことに気づかない人もいるかもしれません。こういったバランス感覚の良さは、フランチャコルタの良質なノン・ドゼに近い印象でもあり、ある種、リッカルド・コタレッラの関与がよりポジティブに感じられる瞬間でもあります。
エクストラ・ドライやブリュットは、時間とともに甘みの要素が鮮明になる傾向にありましたが、このドサージュ・ゼロは、逆に時間とともによりドライになっていく傾向にあります。抜栓直後は果実味とのバランスが非常に良好で心地よく飲めますが、あまり時間をかけすぎるとシャープな印象が強くなるので、どちらかと言うと抜栓日に飲みきってしまった方がより高い満足感が得られそうな印象でもあります。
(2021/06)