- Very Good Quality -
ニュージーランド最南端のワイン産地「セントラル・オタゴ」を代表する生産者であり、かつ、ニュージーランドのトップ5に数えられる一流生産者でもあるのが「フェルトン・ロード」。
フェルトン・ロードを代表するスタンダードレンジのピノ・ノワールですが、シャルドネのバノックバーンと同様に、バノックバーン地区の3つの畑(エルムズ・ヴィンヤード、カルヴァート・ヴィンヤード、コーニッシュ・ポイント・ヴィンヤード)のブレンドで造られています。スタンダードレンジとは言え、その評価は非常に高く、3つの畑の個性が発揮されることによる多様性やバランス感など、ブレンドによって生じる利点によって、結果としてシングルヴィンヤードのピノ・ノワールに比肩するクオリティを発揮しています。
一口目から魅了される享楽的な果実味は、黒系果実を土台に美しく昇華した妖艶な美が感じられ、その熟度の高さと旨味が一体となった表情は、2009年のピラミッド・ヴァレーのカルヴァートを彷彿とさせるものがあります。しかし、骨格の張りや緊張感など、体躯を構成する柱の芯の固さ(ある種の軋み)、そして安定感のあるタンニンが、熟成した果実の妖艶さとは裏腹に、よりポテンシャル系の表情を色濃くした存在感となって伝わってきます。全体的なバランス感も良好で、3つの畑の個性がうまくひとつの世界観を紡ぎ出しているようでもあり、文句なくその姿に魅了されます。温暖なヴィンテージということもあり、2012年よりもボリューム感や充実感がより印象的ですが、その分魅力もかなり明瞭なので、2013年の方がより素直に訴求してくれそうな印象でもあります。
(2018/10)