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「グローワーズ・コレクション」は、ワイナリー設立後、自社畑から葡萄が収穫できるまでの間、他の生産者から畑を借りて葡萄造りを始めたのがそのきっかけとなります。自社畑の運用が始まった今も続くことになったこのコレクションですが、カルヴァート・ヴィンヤードは、セントラル・オタゴにあるフェルトン・ロード・ワインズの同名の区画から造られます。
ピノ・ノワールらしからぬ濃い黒系の色調もさることながら、黒系果実の密度とボリュームを感じる豊満さ、コアにある甘旨い魅力、そして適度な熟成感に夜ピーク半歩手前といった世界観など、今まさにそのポテンシャルをフルに発揮してくれる状態となっています。
この肉厚感と旨味が重なり合う表情は、ある種ヴォーヌ・ロマネ的な指向性でもあり、一部のトップドメーヌが有する魅力とも相通じる部分があります。各要素が紡ぐ総ポテンシャルとしては、リヴァーブロックと比較してもそこまで大きな差があるわけではありませんが、熟成を経たことで見事に昇華した絶妙な表情、そこから放たれる際立った魅力は素晴らしい訴求力を兼ね備えています(欠点や不足した部分を美点が補っているような傾向にあり)。ある意味、カルヴァート・ヴィンヤードの持つ潜在能力と熟成がもたらす奇跡の1本とも言えるかもしれないので、最終的には「ロット差(ボトル次第)」という副次的要素が非常に大きくなりますが、コストパフォーマンスも含めて非常に高い満足感が得られるのは間違いなさそうです。
(2016/03)