- Very Good Quality -
ニュージーランド最南端のワイン産地「セントラル・オタゴ」を代表する生産者であり、かつ、ニュージーランドのトップ5に数えられる一流生産者でもあるのが「フェルトン・ロード」。
フェルトン・ロードの起源となるエルムズ・ヴィンヤードから東に6kmほど移動したところにあるのがこの「カルヴァート・ヴィンヤード」。クルーサ川とカワラウ川の合流地点に位置するという特異なテロワールによって、他の畑よりも収穫が早くなる傾向にあります。
今回の2013年ヴィンテージは、リリースされて間もなかった数年前に、エラスリスのラス・ピサラやセリーヌ、アルマン・ルソーなどと比較試飲しましたが、その当時は全体的にフラットで、軋みや青み、そしてハイトーン系の清涼感が主体となり、あまり良好な印象ではありませんでした。しかし、数年の熟成を経て状況は劇的に変化しているようです。コアにある基本姿勢は数年前に経験した世界観の延長線上にあり、清涼感や軋みのある骨格感は今も多少残っています。しかし、それらを上回るボディの豊かさが非常に印象的で、熟した黒系果実の艶美な魅力が全域に染み渡り、球体感のあるボリュームと丸み、そしてシルキーな滑らかさを持つ表層と、非常に良質な品位と風格をその身に纏っています。
同じ2013年のバノックバーンとは根本的に表情が異なっていて、果実そのものの熟成が進み妖艶な魅力を醸し出していたバノックバーンに対し、コーニッシュ・ポイントはより深く落ち着きを伴い、どこか余裕を感じさせる佇まいとなっています(表情そのものはよりシンプル)。バノックバーンのような明快さはなく、開栓直後はやや端的な傾向にあるものの、それでも時間とともに尻上がりに開花していく傾向にあり、翌日に持ち越す頃にはその深い魅力の虜になるほどの変化を見せてくれます。グラス一杯だけの試飲だと、誤って過小評価する可能性があるので注意が必要かもしれません。今後1〜2年で更に深い魅力を身につけそうな雰囲気があるので、基本的に早飲みは避け、一定期間熟成させる方ががより良い結果が得られる印象でもあります。
(2018/10)