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「シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌ」は、バルサックの有名な「シャトー・クリマンス」と「シャトー・クーテ」のすぐ南東に位置していますが、隣には同じ「ドワジー」という名を冠したより名高い「シャトー・ドワジー・デーヌ」があることもあってか、多少陰に隠れた印象が強いかもしれません。
凝縮した濃厚な蜂蜜を感じる甘みに、程々の酸、そしてアフターにかけてしっかりとしたアルコール感とヒリっとした辛味が広がり、終始バランスの良さと全体的なパッケージングの良さが印象に残ります。甘みに凝縮感はありますが、それでも突出するような濃縮感ではなく、あくまでも現実的なバランス感覚を失わない程度の濃密さなので、飲み手に非常に良好な印象を与えます。また、これだけ甘いにも関わらず、ダレたりべたっとしたりするようなことは一切なく、むしろキレのある辛味が構築する適度なシャープさによって、食中酒としての役割ですら十分に担ってくれます。
貴腐化した葡萄のエネルギーだけに頼るのではなく、醸造関連も含めて現代的な水準でしっかりと構築している印象でもあり、以前よりも一段完成度が高まっているように感じます。ソーテルヌのさらなる進化と発展が期待できる内容なので、現実的な価格帯でこの世界観を構築してくれていることは賞賛に値するとも言えます。
ちなみに、この2011年ヴィンテージは、2014年のワイン・スペクテイター年間Top100で堂々の18位に選ばれています。
(2018/08)