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主に甘口や中口で仕上げられることが多いドイツ系品種がこのバッカス。山﨑ワイナリーでは、ワイナリーから一望出来る南斜面の畑で栽培され、樹齢は18年となっています。
色調はかなり薄く、僅かにグリーンがかっているものの、無色透明に近いので、見た目としてはあまりワインらしくないかもしれません。しかし、見た目とは裏腹に、抜栓直後からラ・フランスを彷彿とさせる鮮烈な洋梨の香りが広がり、そこに青リンゴのような細めの酸が加わってボディをうまく引き締めています。時間とともに洋梨香は減衰する傾向にあり、翌日に持ち越すと今度はバッカスらしいマスカットの香りが広がります。
表記は「中口」となっていますが、口当たりの良い魅力的な果実の甘みは感じるものの、細めながらもしっかりとした酸が全体を支配している傾向にあるので、ベタつきは一切なく、むしろ爽やかな後味と心地よい飲み口が非常に好印象でもあります。丹波ワインヌーボーやカリブーのような「青デラ系ワイン」にも相通じる魅力があり、この「酸味」+「甘味」と言うスタイルは、日常で楽しみたい日本ワインとしてある種の可能性を感じます。
スタイルが際立っているので、万人受けする系譜とはやや異なるかもしれませんが(ある種、ゲヴュルツトラミネール的な存在感に近いかも)、これだけ鮮烈な表情を持つワインを、いたって現実的な価格で生み出していることについては素直に評価したいところです。
(2017/09)