- Good Quality -
京都府丹波町にある自社農園で造られる、丹波ワインの赤のフラッグ・シップがこのピノ・ノワール(栽培責任者は末田有)。1年間の樽熟成で、1,600本のみが限定醸造されています。
全体的にフラットで、柔らかく一切の引っ掛かりのない丸い表層が非常に印象的で、この特性から表情にやや鈍さが感じられます(若干ハズレボトルな印象も?)。こういった表情の鈍さは、即ち世界観をネガティブな方向へと導く傾向にありますが、思いの外ベースにある葡萄に力があることもあり、結果としてはニュートラルな位置にとどまっています。同年のサペラヴィやカベルネとは違い、特に酸が突出していないので、より素直に嗜める傾向にありそうです。
明確に秀でた要素がないのでかなり地味な印象を受けますが、コアに向かってじっくりと紐解いていくと、意外と良質な表情を垣間見えることができます(若干還元的)。表層的には軽快な立ち振る舞いではありますが、実際にはやや低重心で、収斂要素も感じるなど、今すぐ飲める仕立てでありながらも、一定のポテンシャル要素を兼ね備えているとも言えます。総じて、多少難しいヴィンテージであっても、一定水準でしっかり纏められるような、確かな技術力を感じる仕上がりだとも言えそうです。フラッグシップとは言え、肩肘張らずに飲める世界観でもあるので、日々の食事と共に楽しんでもらいたいところです。
(2017/06)