- Good Quality -
農園の場所は京都府亀岡市曽我部寺。この地で福岡裕和さんが栽培したカベルネ・ソーヴィニヨンを100%使用し、限定800本のみ造られています。
一般的なカベルネ・ソーヴィニヨンのタニックで堅牢性あるイメージとは大きく異なり、優しくしなやかで軽やかな表情が主体となっています。アルコールは11%と低く、色調はクリアで透明感のあるルビー色で、エッジは若干オレンジがかっています。印象的なのがはっきりとした酸で、ボディそのものはカベルネらしからぬ軽快さが印象的ですが、淡く広がる収斂感と酸によって、全体像としては思いの外しっかりとした印象を受けます。純粋な果実味は控えめで、優しい梅的な風味に仄かに枯れたニュアンスなどが伝わり、強い主張は一切せず、ひたすら脇役に徹する「日常で嗜みたい現実的なワイン(良い意味で普通に飲むためのワイン)」といった傾向にあります。
半歩下がった控えめな立ち振る舞いや、酸を主体とした「料理ありきの構成」など、品種の個性よりも丹波ワインとしてのスタイルがより色濃く反映されていて、その世界観は同じヴィンテージのサペラヴィと類似するものが多くあります。色づきの問題など、難しいヴィンテージだった2014年としては非常にうまく仕上げている傾向にありますが(丹波鳥居野はカベルネ単体では造られず、播磨産はロゼになった)、点数評価として現れる部分以外の要素をどう捉えるか、それが大きな肝になってくるので、日常のシーンに合わせてポジティブに向き合ってもらいたいところです。
(2017/06)