- Good Quality -
聞きなれない品種ですが、ジョージア原産の「サペラヴィ」を使用したワインで、丹波ワインでは炭酸ガス注入式のスパークリングワインも造っていますが、今回のサペラヴィはスティルワインとなります(生産本数1,400本)。
葡萄は、京都府丹後弥栄町の契約農家でもある藤原さんが栽培したものになります。原産国ではボディ溢れるスタイルになるようですが、京都というテロワールにおいては異なるスタイルに仕上がります。最も特徴的なのが酸。どことなく梅こんぶや米酢のような雰囲気があり、不思議なほどに京都的な「和風」を感じる佇まいが広がります。果実由来の甘みはかなり控えめで、アフターにかけてかなりしっかりとした酸が主張しますが、山葡萄を仄かに感じさせる優しい野性味に、微細な粒子を感じる体躯内部の緻密さが底支えしていることもあり、決して鋭すぎるようなことはありません(アルコールが10%と低めなのも特徴のひとつ)。
一点、使用するグラスには注意が必要です。小振りなグラスを使用してしまうと、どうしても「単調な酸っぱいワイン」という印象が先行しがちなので、その本質をしっかり享受するためにも、ブルゴーニュグラスのような大ぶりなグラスを用意することをお勧めします(酸が苦手な場合はボルドーグラスの方が無難かも)。一般的に、低価格なワインに対して大きすぎるグラスを使用すると、ワインがグラスに負けて平坦な表情になりがちですが、このサペラヴィは葡萄そのものにしっかりとしたポテンシャルとエネルギーが込められていることもあって、むしろ大ぶりなグラスを使用する方が圧倒的に良好な結果が得られます(ただし酸がより明確になるので注意も必要)。
決して点数評価が期待できるようなワインではなく、また、その個性ある表情から飲み手を選ぶ傾向にあるのは確かでずが、本質的な部分における良質さというのは、しっかりと評価するべきだと強く感じます。それは短時間の画一的なテイスティングでは得られない魅力でもあるので、日本の食卓、その日常を彩るための「料理とともに飲むワイン」として、肩肘張らずに楽しんでもらいたいところでもあります。
(2017/06)