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多くのブランドを展開するチャールズ・スミスですが、中でも「Kヴィントナーズ」はチャールズ・ズミスの中核に位置し、こだわりを持って極少量飲み造られるハイエンドのラインになります。
ワイン名の「MCK」は「モーター・シティ・キティ」の略で、実はチャールズ・スミスが飼っていた猫の名前であり、60年代〜70年代に活躍したアメリカのロックバンド「MC5」がその由来となっています。ある意味、長年ロックバンドのマネージャーを務めていた彼らしいネーミングセンスと言えるかもしれません。
MCKには、ディック・ブシェイが所有する偉大な畑「ブシェイ・ヴィンヤード」のシラーが使用されています。この畑はワシントンにおける「一級畑」とも言われ、標高は非常に高く(約400m)、南西向きの斜面に砂質の火山性土壌という特徴を持っています。また、植樹されたシラーには、「383」「174」「ジョセフ・フェルプス」という3種類のクローンが使用されています。Kヴィントナーズとしては、白のヴィオニエを除き、赤では唯一となるヤキマ・ヴァレーのワインになりますが、実際にはAVAを名乗らずに州名となるワシントンを名乗っているので、もしかするとヤキマ・ヴァレー以外のシラーを15%以上使用しているのかもしれません(詳細不明)。なお、醸造については、スキンコンタクトが47日、更に新樽比率44%のフレンチオークで22ヶ月間の熟成が行われています。
ワルーク・スロープの2アイテム、「ザ・ディール」や「ミルブラント」とは明らかに異なる質感を保持し、美しく心地よい表層の滑らかさと、全体に行き渡る瑞々しさが非常に印象的です。高アルコール由来の迫力と紫系の彩度の高い資質は確かに感じられますが、抜栓後にしっかりと時間を与えれば気にならない水準まで落ち着くので、おそらくそれほど大きな問題にはならないと思います。一歩中に踏み込むと、ベルベットのような質感に触れることができ、シラーらしいスパイシーさも堪能できるので、内包するエネルギーをすべて受け止められれば高い満足感が得られそうです。
(2017/01)