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2003年は「猛暑のヴィンテージ」でしたが、ダレや過熟風味は一切なく、堅牢性ある体躯と魅力ある果実味が相まって、素直に楽しめる表情がしっかりと構築されています。2006年と同じように、今回の1本は状態が良かったので、まだそれほどハッキリとした熟成感が出ているわけではなく、熟成ピークにおける上辺レンジの初期と言った印象があります。
カロン・セギュールらしいタンニン力は健在で、苦味を伴う厳しさは往々にして感じられますが、それでもギュッと身の詰まった艶のある果実の甘みが魅力的で、大人向けのビターチョコのような雰囲気を醸し出しています(カベルネ的な青さは皆無)。時間とともに熟れてなだらかになっていく傾向にはありますが、適度なバランス感覚で全体を程よく纏めているので、総じてポジティブな印象を受けます。相対的には陽的なカロン・セギュールと言える仕上がりなので、1990年や1998年のような果実味が生きたスタイルが好きな人にはよりお薦めできそうです。
(2016/11)