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1983年に誕生したペルカルロは、6つの畑から特別選別されたサンジョヴェーゼ100%で造られます。年々評価が高まるペルカルロですが、2010年はリコルマに近い性質を持った、瑞々しさと熟度の高い果実味が印象的な、2009年とは違う意味で異質な指向性を内包する世界観となっています。
酸が一本通ってはいるものの、構成要素としてはサンジョヴェーゼらしい系譜には無く、全体を通して多くの人に訴求するであろうわかりやすいスタイルになっているのが印象的です。ある意味、2009年とは180度異なる方向性と言えるかもしれませんが、魅力あるわかりやすいスタイルというのは、現代においてはそほどマイナスにはならないのかもしれません。興味深いのが、2010年のリコルマにはあまり感じられなかったヨード系の風味が、なぜかペルカルロには感じられたことで、熟度感の高さなどから来るのかもしれませんが、この辺りが2010年というヴィンテージの性質を反映しているとも言えそうです。
文句のない明快な良質さが一貫して披露されるので、万人に対して安定して訴求する系譜にありそうですが、その反面、圧倒感や突き抜けるようなポテンシャル、さらには感動といった領域には達していないので(いたって現実的)、その辺りをどう評価するかで多少意見が分かれそうな印象でもあります(良質が故の贅沢な悩みかも?)。
(2016/01)