- Good Quality -
1983年に誕生したペルカルロは、6つの畑から特別選別されたサンジョヴェーゼ100%で造られます。年々評価が高まるペルカルロですが、2009年はこれまでのペルカルロにないタニックな側面や、やや尖った指向性など、少し異質な指向性を感じる内容になっています。
思いがけずアタックから樽系要素の苦味が感じられ、それに呼応するかのように、かなりしっかりとしたタンニンも同時に伝わってきます。サンジョヴェーゼらしいタイトさは維持しているものの、重心は低くヘヴィな傾向にあり、堅牢系の資質とは裏腹に、サラリとした酒質と控えめな果実味、そして内部の大人しい充実加減など、従来のペルカルロとはやや異なる指向性を有しているようにも感じます。現状では、バランスとはしてはあまり良くない印象があり、加えて翌日に持ち越すと、更なるパワーバランスの陰りも見えるようになりますが、それでも「これが2009年というヴィンテージのスタイル」と捉えれば、そこまでネガティブな印象はありません。
同年のリコルマも同様の資質を有しており、スタンダードなキャンティ・クラッシコやバロンコーレに関しても強固なタンニンが土台にあったので、2009年のサン・ジュスト・ア・レンテンナーノに関しては、どちらかというとワインを飲みなれた玄人好み向けと言えるかもしれません。やや異質な傾向にあるので、ペルカルロ未経験者にはお薦めしにくい印象ですが(誤解を招く可能性もあるので)、毎年飲んでいる人であれば逆にその変遷を楽しめると思うので、こういった指向性そのものもより前向きに捉えられると思います。
(2014/11)