- Recommended -
親しみやすさが顕著になった前年からすると、今度はそこに本来の質実さを適度に取り戻し、うまく昇華させたような印象があります。立ち位置を考慮すると、かなり完成度が高まってきた印象でもあるので、この方向性は概ねポジティブに受け取れそうです。
全体としてのイメージは、「メルローらしい表情」が主体となり、旨味を含むヨード系の風味と豊満でボリュームのある体躯が明快な魅力を生み出しています。タンニンも豊富で高いアルコール感(14.5%)を持つしっかりとした酒質ですが、抜栓後2〜3日経過させることで一気に一体感が増し、本来持つ表情が徐々に表出する傾向にあるので、もし抜栓後の表情や印象にしっくりこないものがあれば、早計に結論を出さず少し多めに時間を与えてもらいたいところです。
非常に高い評価を得るヴィッラ・フィデリアの赤と比較しても、質感やポテンシャルとしてはやや譲るものの、メルローらしいボリューム感やそこから発せられるエネルギーと世界観に関しては一切負けていないので、価格差を考えるとかなりの訴求力を持っていると言えそうです。
(2015/04)