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これまでの印象とは異なる指向性を色濃く感じることにやや驚きと戸惑いを覚えますが、ひとまず親近感ある親しみやすい資質を兼ね備えたことは、このワインの立ち位置を考えると大きなプラスと言えるかもしれません。
タンニン豊富で近寄り難い固さを持つイメージは一気に払拭され、丸みや果実味といった口当たりの良さが抜栓直後から全面に広がります。とはいえ、その飲みやすさの反面、やはりコアには堅牢性と強いタンニンから来る屈強さが鎮座しているので、どちらかというと空気にしっかり触れさせて開かせる方がより魅力を引き出せるかもしれません。
全体的には抜栓日の方がバランスがよく整った傾向にあり、サンジョヴェーゼらしい硬質感と、国際品種系(メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン)の柔和さの両方の良さがよく出ているので、使用するグラスに関わらず楽しめます。翌日に持ち越すと、本質的なタニックな資質が色濃くなるので、ボルドー系の大振りなグラスを使用する方がより良い結果が得られそうです。
味覚を基準にすると多少好みが分かれる可能性があり、さらにヴィッラ・フィデリアと同様、コアに圧力があるので飲むのにある程度の体力が必要ですが(アルコール自体は13.5%と随分低くなった)、それでもこの価格帯でこれだけのポテンシャルを有していることに対しては、邪推することなく素直に評価したいところではあります。
(2014/04)