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まず見た目からして「三角形ラベル」が印象的な「オー・ボン・クリマ」のワイン。この「サンタ・バーバラ・カウンティ」は、最も手頃な価格帯に位置するアイテムとなっており、ある意味「赤(ピノ・ノワール)」におけるABCスタンダードと言える存在かもしれません。
以前試飲した2009年と比較すると、もはや別物といえる程のポジティブな世界観が広がり、どことなく小振りで大人しいイザベルといった様相を呈しています(同じ指向性の延長線上に両者が存在する印象)。充実した熟した果実感は健在ですが、このレンジらしい現実的な甘味ということもあり、日常的に楽しみたいワインとしてはむしろこれぐらいに抑えられている方が良好な傾向にあります。各構成要素はイザベル準拠とも言え、柑橘系の渋皮を彷彿とさせるほろ苦さが体躯内部に一本通っている事で、全体をグッと引き締めています。
翌日に持ち越すと陽的な要素が減衰するので分かりやすい美味しさはやや控えめになりますが、それでもベースの質実さが露になるので、これはこれでまた別の表情としてポジティブに捉える事が可能です。いたってシンプルでに纏め上げてはいるものの、そう仕上げること自体が「言うは易し行うは難し」という現実も確かにあるので、全体としてのパッケージングの観点からすると、これまでで最も好印象のサンタ・バーバラ・カウンティと言えるかもしれません。
(2014/03)